資産運用講座16)外国株、外国債券について

外国株や外国債券の仕組みに関しては国内株や債券と同じなので、次の記事をご覧ください。

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株式投資について
債券投資について

敢えて外国の株式や債券に投資する理由は、リスク回避の為の分散と、新興国ならではのハイリターン狙いなどがあります。

この様な、国内投資との違いに焦点を当てて説明いたします。

外国株式取引の種類

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外国の株式を取引するには、次の3つの方法があります。

1、海外委託取引(外国取引)

国内の証券会社を通じて、現地の業者に市場での売買注文を委託する方法です。

国内の証券会社が取次ぎ現地の委託業者が売買するので、国内株式の取引と同じイメージで運用できます。

現地の市場で直接売買を行う為、指値注文などが可能です。

2、国内店頭取引

国内店頭取引とは、証券会社の保有している外国株式を、投資家が購入及び売却する取引方法です。

海外の株式市場での取引ではなく、国内の証券会社との売買となりますので、市場価格での取引はできません。

売買価格は証券会社が海外市場の価格に基づき設定します。

投資家は証券会社の決めた価格で合意すれば購入、又は売却します。

取引できる銘柄は証券会社の保有する銘柄に限定されます。

3、国内委託取引

日本の証券取引所に上場している外国企業の株式を売買します。

取引方法は国内企業の株式を取引する方法と同じです。

外国株式・債券のメリットとデメリット

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■ 外国株式・債券のメリット

幾つかのメリットがあります。

1、分散投資
投資商品で括らず外国投資で説明するのであれば、国内経済が低迷した時のリスク回避の為の分散です。

中国や東南アジアの台頭により、国内の工場が軒並み海外へシフトしています。

国内では雇用が減り、収入も減り、更に人口も減っている中で、購買力も落ちています。

アベノミクスで一時期株高で推移しましたが、その勢いも弱っているようにも感じます。

今や世界経済はつながっているので、未だ強さの無い日本経済が何の影響で停滞するかわかりません。

その時に勢いのある外国資産を持っていれば、日本の資産減少と相殺されます。

2、安定の世界企業への投資
世界には多くの企業がありますので、選択肢が広がります。

世界的な企業は安定感も高く(株価も高いですが)、安定したリターンを望む事が出来ます。

3、成長著しい国への投資
成長著しい新興国は企業も勢いがあります。

注目されていないけれども、将来世界に出るお値打ち銘柄も見付ける事が出来るでしょう。

また、途上国の国債金利は日本とは比較にならないほどの高さです。

東南アジア諸国の国債も2~5%程の利回りはありますし、ブラジルなんて10%を超える利回りです。

ブラジルはオリンピックの時期に頻繁に報道されていましたが、公務員の給料未払いなどが発生しており、信用問題起こしそうですけど。

■ 外国株式・債券のデメリット

デメリットとしては正確な情報を得る事が難しい事が挙げられます。

自分の住んでいる国でない為、肌感覚で雰囲気を感じ取る事が出来ません。

また、言語の問題もあるので情報源が限られます。

第三者が訳した加工された「与えられた情報」しかありません。

自分が欲しい情報をリアルタイムで得る事が出来ないので、大切な資産を運用するには心許ない気もします。

また、時差が問題になる事もあるかもしれません。

ある企業の株価が一気に暴落していても、日本では取引できない時間という事もあり得ます。

外国株式・債券のリスクとリターン

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■ 外国株式・債券のリスク

海外での運用である以上は、国内運用に加えて次のリスクを警戒すべきです。

1、為替変動
為替変動は利益にもなる可能性がありますが、損失になる可能性もあります。

しかし、1米ドルに対して5円や10円が簡単に変動するようになってきましたので、安定した運用を求める人にとってはリスクでしかありません。

もし外国に対しての投資を考えているのであれば、円高のタイミングで投資を行うのが鉄則です。

もしくは、毎月一定額を購入するドルコスト平均法により、購入価格を平均化するかです。

【サムライ債】

サムライ債と言う言葉を聞いた事がありますか?

外国の政府や企業などが日本市場で発行・募集する債券で、円建ての外国債券です。

為替リスクを心配する必要のない安心運用が可能です。

サムライ債には「デュアル債」と「リバース・デュアル債」があります。

デュアル債は金利は円だが償還金が外貨、リバース・デュアル債は逆に、金利は外貨だが償還金は円のサムライ債の事を言います。

2、カントリーリスク
カントリーリスクは途上国では無視できません。

数年前まではBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、シンガポールの頭文字)と言われて、どんどん成長を続けると思われたこの国々。

しかし、メリットでも例に挙げましたがブラジル経済は混乱しておりますし、中国経済も少し陰りが見え始めているようです。

これらの国に限らずとも、今後の世界経済の推移によっては、どこの国で通貨価値が大幅に下落したり、市場機能がマヒして日本円払い戻しが出来なったりするかもしれません。

現実的にあり得る話なんです。

■ 外国株式・債券のリターン

リターンに関しては日本の株式や債券の投資と同じです。

株主優待に関しては日本独自で行っている還元方法の様なので、リターンは全て配当で行われます。

もう一つのリターンは、為替差益です。

リスクにもなるがリターンにもなり得る為替相場の変動です。

外国株式・債券の手数料

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株式も債券も外貨建ての取引に投資をしたり、外貨建てでリターンを得る場合には、為替手数料が発生します。

為替手数料はTTS及びTTBの確認をしておくようにしましょう。

TTSとTTBの説明は次の記事を参考にしてください。

関連記事:
外貨預金の手数料

1、外国株式の手数料

外国株式の手数料は、取引の種類により異なります。

■ 海外委託取引の手数料
海外委託取引の場合、国内の証券会社と海外現地の委託業者への手数料が必要となります。

最低価格の設定されている場合も多いと思います。

また、国によってはそれ以外の諸経費が請求される事があります。

一約定毎(売買毎)に手数料が掛かりますので、相応の利益が無ければマイナスで終わってしまう恐れもあります。

不本意な結果にならない様に、事前に確認する様にしましょう。

■ 国内店頭取引の手数料
国内店頭取引で売買される時の株価は、市場価格ではなく市場価格を基に証券会社により設定された価格です。

掛かる手数料は、既に売買価格に組込まれており、手数料不要となる場合が多いようです。

しかしこの状態は、投資家にとっては市場価格が分からないのに株価を設定されている状態です。

即ち、手数料が幾ら抜かれているかが全く分からない状態という事です。

証券会社に儲けさせる為に投資をするわけではありませんので、手数料の少ない会社を選ぶ事が大切です。

運用を考えている証券会社の設定価格と市場価格を調査して、抜かれている手数料を算出しておきましょう。

■ 国内委託取引の手数料
国内の証券取引市場へ上場している株式を、国内の証券会社を通して取引します。

よって、国内の株式投資と同じ手数料となります。

2、外国債券の手数料

国内債券と同様に発行側が負担する為、為替手数料以外は無料の会社が多いようです。

ただし、既発債の売買は手数料が必要となる場合があるかもしれませんので、証券会社の該当ページを確認しておきましょう。

外国株式・債券の税金

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基本的には国内の株式や債券と同じです。

外貨で運用される外国株式や外国債券の売却・償還価格と配当・分配金額は、証券会社などの設定するレートで円換算して所得計算します。

税金の計算では為替差益や差損と言う概念で考える事はありませんので、為替差益を区分けして課税する事はありません

また、売却益や配当金、分配金に外国で税金が課せられている場合、国内で住民税と所得税を支払うと二重課税となってしまいます。

この為、確定申告する事で外国税額控除と言う制度により控除可能です。
(NISA口座で運用の場合は国内非課税の為、二重課税とならないので外国税額控除対象となりません。)

1、外国株式の税金

上で述べた通り、証券会社の設定レートで円換算した金額で売却益と配当金を計算します。

■ 売却益
売却益は譲渡所得に区分され、申告分離課税の対象となります。

税率は20.315%(国税15.315%、地方税5%)です。

外国で課税されている場合、税引き後の金額を円換算して計算します。

■ 配当金
配当金は配当所得に区分され、基本的に源泉分離課税の対象となりますが、必要に応じて総合課税や申告分離課税を選択する事も可能です。

総合課税の場合は他の所得と合算後に累進税率が適用されます。

申告分離課税の場合は税率20.315%です。
(国税15.315%、地方税5%)

売却益と同じく外国で課税されている場合、税引き後の金額を円換算して計算します。

2、外国債券の税金

■ 利付債
利付債で得る事の出来る利益は利息、売却益、償還差益なので、この3つに対して税金がかかります。

・利息に対する税金
外国債券の利息は「特定公社債の利子所得」に区分され、申告分離課税の対象ですが、申告不要とする事も可能です。

申告不要制度選択の場合は、源泉徴収された時点で納税完了です。

・ 売却益、償還差益に対する税金
外国債券の売却益や償還差益は譲渡所得に区分され、申告分離課税の対象となります。

税率は20.315%(国税15.315%、地方税5%)です。

■ 割引債(ゼロクーポン債)
割引債は利息が支払われず、発行価格と償還時の価格の差を利益としますので、償還差益に対して課税されます。

途中で売買された場合には売却益も課税対象です。

 
割引債の売却益に対しては、利付債の売却益と同じ扱いです。

償還差益に対しては国内債券の扱いと同様に譲渡所得に区分され、償還時源泉徴収及び申告分離課税の対象となります。

具体的には、償還時に「みなし償還差益」に対して源泉徴収され、確定申告時に実際の償還差益との差額を調整します。

みなし償還差益の計算は次の通りです。

a)償還まで一年以内
償還金額の0.2%を「みなし償還差益」とする。

b)償還まで一年を超える
償還金額の25%を「みなし償還差益」とする。

外国で償還金に対して課税されている場合、税引き後の金額に対してみなし償還差益の計算を行います。

3、特定口座、損益通算、繰越控除

外国株式や外国債券の投資で特定口座での取り扱いは可能です。
(譲渡所得に対してのみ)

外国株式の売却損益と配当、及び外国債券の売却・償還差損益、利息は、株式投資や投資信託の損益と損益通算可能です。

外国株式の売却損、外国債券の売却損、償還差損は3年間の繰越控除可能です。
(配当金、利息は損失になる事はありませんので対象外です。)

 
特定口座、損益通算と繰越控除に関しての詳細は、次の記事を参照してください。

関連記事:
・特定口座に関しては、「運用口座について」参照
・損益通算に関しては、「損益通算」参照
・繰越控除に関しては、「譲渡損失の繰越控除」参照

途上国企業の小話

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過去にマレーシアで10年以上働いていた事があります。

マレーシアはマレー系、中華系、インド系の住民がおり、商売上手な中華系の人が手広く商売をしています。

元々はマレー系住民の国でしたが、過去の植民地支配でインドからプランテーションの労働力として連れてこられたり、中国人が移住して多民族国家になった経緯があります。

政府は経済を支配しつつある中国系住民に対して、マレー系住民の批判の目をかわす為に「ブミプトラ政策」を始めます。

これはマレー系優遇政策であり、公共事業や政府系の仕事等をマレー系の会社に優先的に受注させるものでした。

この様な優遇政策以外にも、政府系企業にはマレー系スタッフが多在籍しており、民族のつながりからマレー系の会社が受注する事が多くなっています。

 
この様な歴史的な背景や民族的な背景を理解すると、数字だけでは見えない国の姿が見えてきます。

もし外国投資を考えているのであれば、証券会社などから提供される資料だけではなく、可能な限り本や雑誌、駐在者のブログやJETRO(日本貿易振興機構)、現地の日本人商工会議所(マレーシアで言えばJACTIM)などのウェブサイトから情報を取り、何となくでも国の姿をイメージできるようにしておきましょう。

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