資産運用講座14)金(ゴールド)投資について

金(ゴールド)への投資について説明します。

金投資の仕組み

金投資は購入時と売却時の差額によってのみ利益を出す投資商品です。

株式や債券、投資信託の様に、保有していれば配当や分配が得られるわけではありません。

保有しているだけでは何も価値を生み出さないのが金投資です。
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しかし金への投資は人気が有ります。

なぜ人気があるかと言えば、現物資産だからです。

例え大不況に陥って株式などが紙くずと化しても、国が破綻し貨幣価値がゼロになっていても、世界中で価値が変わらない金さえ保有していれば資産を守る事が可能だからです。

面白い事に、過去に何度か金の価格が大きく上昇する局面がありましたが、それは情勢不安や金融危機の時でした。
(そのような時を狙って、販売会社が強く売り込むのでしょう。)

将来の値上がりを見越して購入する方もいると思いますが、この様な安全資産として保有される方も多いのが金投資の特徴です。

金投資の種類

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金投資と言っても、ただ金塊を購入するだけではありません。

様々な運用方法があります。

■ 金地金(じがね)売買

金地金は金塊、またはインゴットとも言いますが、金の現物を売買する事です。

現物を所有する事も可能ですし、盗難の心配をされる方は保管委託をする事も可能です。

購入先は近所のデパートにも装飾品として売っているかもしれませんし、専門店であれば田中貴金属工業や三菱マテリアルなどがよく聞く名前です。

銀行でも扱っている場合があります。

【保管方法について】
購入した金を業者で保管する場合、「特別保管」と「消費寄託」と言う2つの方法があります。

例えば銀行で金を購入した場合、「特別保管」の場合は銀行の資産と別として、明確に投資家の所有物として保管管理されます。

それに対して「消費寄託」では、購入しても金の所有権は投資家に移らず、銀行が所有権を保有します。

投資家は積立会社が倒産した時などの返還を請求する権利(債権)を持つ事になります。

また、銀行は所有する金を運用に回す事で効率的に活用します。

「消費寄託」は厳密に言えば購入している事にはならないかもしれませんが、保管手数料が掛かりませんので「金購入で資産を守りたい」と言う人でなく、「金を運用する事で利益を出したい」と考えている人に向いています。

■ 純金積立

毎月金を購入し続ける事で、徐々に金資産を増やして行く方法です。

毎月一定額の金を購入する「定額積立」と、一定量の金を購入する「定量積立」の2通りあります。

1,000円と小額からできる所が多い為、手軽に始める事が可能です。

「1,000円って1gにも満たないじゃん。どうやって保管するの?」

と疑問を持つかもしれませんが、この様な会社は「消費寄託」での購入の場合が多いでしょう。

定額購入のメリットとしては、購入時に金価格が高い場合は少量の購入となり、金価格が安い場合には購入量も多くなります。

高値の時にだけ購入して損をしてしまう事を防けるのが利点です。

この様な買い方をドルコスト平均法と言い、株式購入でのリスク回避にも利用される手法です。
(分散投資の一つで、時間を分散する手法です。)

■ 金ETF

ETFとは証券取引所で取引される投資信託の事で、ファンドを株式の様に取引する事が出来ます。
(通常の投資信託のファンドは証券会社などからの「購入」ですが、株式の売買は投資家間での価格合意により売買が行われる「取引」です。)

金ETFは、金価格に連動するように設計された投資信託のファンドを取引します。

証券取引所で売買される為リアルタイムでの価格変動に対応できる他、自分の希望する金額で購入し、希望する金額で売却する事が可能です。
(希望する金額での売買に合意してくれる相手が居る事が前提です。)

これは、金の価格以外にも投資家の需要と供給の原理も働きますので、金自体の価格推移よりも変動が大きくなる可能性がある事を意味します。

■ 投資信託

金を運用対象とした投資信託も存在します。

金ETFとは異なり、取引により価格が決定するわけではなく、販売会社よりファンドを購入します。

無駄な価格のぶれが無いので、安定して運用できるのが特徴です。

投資信託で金を運用するより、金ETFの方がメジャーです。

■ 金先物取引

先物取引とは、今お金を払わず将来の購入時期と購入金額を約束する取引です。

手数料など無しで例えますが、今日時点での金価格は4,685円ですが、4か月後の金を4,500円で購入すると約束するとします。

もし3か月後に金が5,000円になっていれば500円の儲けで、4,000円になっていれば500円の損失です。

現物の保有であれば値下がりしたら、将来いつかは値上がりするだろうと気長に保有を続ける事が出来ますが、先物取引は決済しなければなりません。

長期的な視野で手堅く資産を築き上げる事を考えている人は、先物取引には手を出さない方が良いでしょう。

金投資のメリットとデメリット、リスク

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金投資は冒頭にも記載しましたが、保有しているだけでは配当金も分配金もありませんが、金その物に価値があります。

この特徴がメリットとデメリットにつながります。

■ 金投資のメリット

金はその物に価値があり、装飾品としても工業用としても替えの利かない需要があります。

その為将来に渡っても間違いなく一定の需要がありますので、信用リスクと言うものがありません

この様な側面から不況や情勢不安などの有事の際には特に需要が増えます。

貨幣も株式も所詮信用により取引される紙切れで、もっと確実なもので資産を守りたいとする人に求めらるのが金です。

■ 金投資のデメリット・リスク

何度も言いますが、金は保有しているだけでは利益をもたらしません。

売却して初めて利益を得る事が出来ます。

保管は盗難のリスクもありますし預ければ保管料が掛かりますので、保管中に利益をもたらさない金は金(かね)食い虫でもあります。

 
またリスクとしては、金の価値が将来的にも無くなる事はありませんが、それは購入時の価格が保証される事を意味するわけではありません

需要により価格が変動しますので、購入価格を割り込む可能性は大いに考えられます。

その金価格に影響を及ぼすのは、情勢不安や為替レートなどです。

日本は現在金の輸入国なので、円高になれば金価格は下がりますし、円安になれば金価格が上がります。

金自体の価値だけでなく、為替までもが価格に影響しているので、中々将来の価格を読み切るのは難しいと感じます。

金投資の手数料

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運用の種類によって手数料は異なります。

■ 金地金売買手数料

金地金売買の場合、一律で手数料を請求したり、少量購入の場合に限って手数料を請求するケースがあります。

例えば次のような感じで請求されます。

田中貴金属工業では500g未満は有料で「100~300g:16,200円、50g:8,640円、5~20g:4,320円」。
(販売時は1本毎に請求、買い取り時は1件当たりの合計重量毎に請求。)

三井住友銀行では「金地金1本につき売買の都度6,480円」。

日本マテリアルの場合、手数料無料です。

各社それぞれの設定がされていますので、公式サイトを確認してみましょう。

※価格は変更の可能性がありますので、各社公式サイトで確認してください。

■ 保管費用

金は手元に置いておくと不安な方の為に預ける事も可能ですが、手数料が必要となります。

【特別保管の場合】
預入、保管、引出しのそれぞれで手数料が掛かる場合があります。

【消費寄託の場合】
消費寄託での購入は自身で金を所有するわけではありませんので、預入や引出しは有りません。

保管に関しても自身の所有物とはならないので、保管手数料も掛かりません。

■ 純金積立手数料

純金積立は買付手数料と売付手数料が必要になります。

年に一度口座維持管理料(年会費)が請求されます。

それぞれ無料サービスしている会社もあります。

■ 金ETF・投資信託

金ETFはETFの一種なので、ETFで発生する手数料が必要です。

売買手数料と、信託報酬の2種類の手数料が発生します。

金の投資信託も投資信託で発生する手数料が必要となります。

販売手数料、信託報酬、信託財産保留額です。

詳しくは、投資信託の手数料を参照ください。

関連記事:
投資信託の手数料

■ 金先物取引

先物取引でも売買時の手数料が発生します。

対面販売(電話や店舗など)とネット購入では大きく金額が変わります。

コンサルティングの金額込みとの名目ですが、対面販売では万単位の会社もあり、何十円か金価格が値上がりしないと利益を出せないケースもあるようです。

金投資と税金

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■ 金地金売買・純金積立の税金

金地金の売却や純金積立は、「資産運用目的」か「投資目的」かにより税金が変わります。

資産運用目的は頻繁に売買を繰り返さないで保有を続ける運用で、投資目的は短期間での売買を繰り返し利益を得る運用を言います。

□ 資産運用目的の税金

資産運用目的で保有していた金地金や積立純金を売却する際は、譲渡所得として扱われ総合課税の対象となります。
(総合課税:確定申告で全ての所得を合計して、累進税率で課税する制度)

譲渡所得の計算は次の通りです。

譲渡所得額=売却金額-売却費用-購入金額-購入費用

総合課税の譲渡所得は50万円まで控除されます。
(特別控除と言います。)

これは金地金の譲渡所得だけでなく、他の総合課税される譲渡所得との合計です。

また、金の保有期間も課税額に影響します。

【保有期間5年以内の場合】
5年以内とは、5年を含めた期間です。

この場合の課税対象額は、

課税対象額=総合課税される全ての譲渡所得額-50万円

です。

【保有期間5年を超える場合】
保有期間が5年を超える場合は、課税対象額が半分になります。

即ち、課税対象額は

課税対象額=(総合課税される全ての譲渡所得額-50万円)÷2

となります。

【消費税】
ちなみに、購入時と売却時に消費税も掛かります。

売買双方で掛かりますので、プラスマイナスゼロとなりますので、消費税に関してはあまり意識する必要はありません。

【損益通算、繰越控除】
株式や投資信託などの売却益も同じ譲渡所得ですが、分離課税である事から金売買の損益と損益通算をする事はできません。

資産運用目的の金売却損益と損益通算可能なのは、同一年内に発生した同じ総合課税で課税される譲渡所得のみです。
(例えば、ゴルフ会員権など)

また、売却損が発生しても株式の様な3年間の繰越控除はできません。
(同一年内に他の総合課税される譲渡所得がある場合には、その所得から控除する事は可能です。)

損益通算や繰越控除に関しては、次の記事を参照してください。

関連記事:
・損益通算に関しては、「損益通算」参照
・繰越控除に関しては、「譲渡損失の繰越控除」参照

□ 投資目的の税金

投資目的での金地金売却や積み立てた金の売却は、雑所得として扱われ総合課税の対象となります。

確定申告が必要になりますので忘れない様にしてください。

自身の運用が投資目的に該当するか否かは、税務署に確認しましょう。

雑所得の計算も譲渡所得と同じく、次のようになります。

雑所得額=売却金額-売却費用-購入金額-購入費用

雑所得である為、給与所得と退職所得を除く各種の所得合計が20万円以下の場合は、確定申告不要です。

 
尚、金投資口座や金貯蓄口座等からの利益は、実態が金融取引に近い事から税率20.315%(国税15.315%、地方税5%)の源泉分離課税となります。

【損益通算、繰越控除】
同一年内で他の総合課税される雑所得があれば、その範囲内で損益通算が可能です。

株式の売却や配当、債券の売却益、償還差益、利息、投資信託の売却益や分配金は雑所得ではありませんので、これらの投資商品との損益通算はできません。

また、損益の翌年への繰越控除はできません。

■ 金ETF・投資信託の税金

ETFに対する税金は、株式と同じです。

金ETFは譲渡所得のみで、20.315%(国税15.315%、地方税5%)の税率が課せられます。

詳しくは関連記事をご覧ください。

関連記事:
株式投資と税金

投資信託での運用は投資信託の税金が適用されます。

こちらも20.315%(国税15.315%、地方税5%)の税率が課せられます。

関連記事:
投資信託と税金

■ 金先物取引の税金

先物取引の税金が適用されます。

利益は雑所得に区分され、申告分離課税の対象となります。

税率は20.315%(国税15.315%、地方税5%)です。

こちらも雑所得である為、給与所得と退職所得を除く各種の所得合計が20万円以下の場合は、確定申告不要です。

【特定口座】
先物取引に関しては、特定口座での運用ができません。
(特定口座は申告分離課税の譲渡所得に適用される制度です。)

【損益通算】
先物取引で得た損益は、申告分離課税対象となる雑所得との損益通算が可能です。

FX(外国為替証拠金取引)は同じく雑所得(申告分離課税)なので、損益通算可能です。

株式や債券、投資信託は雑所得ではありませんので損益通算はできません。

【繰越控除】
先物取引で損失が発生した場合、翌年以降3年間は繰越控除が可能です。

所得区分の異なる株式や債券、投資信託と合わせる事はできませんので注意してください。

先物取引と合わせて繰越控除できるのは、損益通算できるFXなどの申告分離課税の雑所得だけです。

金投資をするのなら

pointedlady
金投資は保有しているだけでは利息や分配金などの利益を得る事が出来ませんので、長期運用にて資産を構築する方法には分が悪いかなと思います。

かと言って、短期で売買する程価格の変動もありません。
(稀に大きく動く事はありますけど。)

購入するのであれば、景気変動で紙屑と化す可能性のある有価証券よりも、現物に価値のある金を購入する事で確実に資産を守る目的と考えた方が良いでしょう。

しかし、金の現物を購入すると自宅保管は不安ですし、保管をお願いしても保管料がとられてしまいます。

保管料を取られると、資産を増やすどころではなく減らしてしまいます。

なので、金を資産運用に利用するのは余りお勧めできないのですが、敢えて言えば積立だと思います。

 
定額購入の積み立てであれば基本的に消費寄託の為保管費用は掛からず、ドルコスト平均法により高値の時に大量に買ってしまうリスクも避ける事が出来ます。

また、金価格は将来上昇するかは不透明な部分はありますが、大暴落する事もあまり考えられません。

なので、どうしても金で資産運用したいのであれば、積立で運用するようにしましょう。

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