資産運用講座12)債券投資について

2016/12/01

債券投資について説明します。

債券投資の仕組み

まず債券について説明します。

債券とは、簡単に言えば借用書です。

国や自治体、企業が資金を融通したい時に募集を掛け、投資家が応募し債券を購入します。

お金を借りている側の国、自治体、企業は定期的に利息を支払いますが、この利息が投資家の利益となります。
%e5%82%b5%e5%88%b8%e6%8a%95%e8%b3%87
国が発行する債券を「国債」、自治体が発行する債券を「地方債」、企業が発行する債券を「社債」と言います。

また、他国政府の発行する債券を購入する事も可能であり、日本国債とは比較にならない程利息が高いですが、為替リスクや信用問題に注意しなければなりません。

 
債券投資は「貸す投資」であり、運用期間が終了し満期になれば貸したお金は全額戻ってきますので、貸付先が破綻さえしなければ損失を受ける事はありません。

安全性の高い投資ですが、利益は利息を超える事はありませんので大きな運用益は望めません。

しかし、利息は決まっていますので、利益計算がしやすいという利点もあります。

■ 融資型クラウドファンディングとの違い

融資型クラウドファンディングと債券投資は似た種類の投資ですが、明確に異なります。

こちらの記事を参考にしてください。

⇒ 融資型クラウドファンディングと債券投資の違い

両投資を比べると利率に大きな差がありますが、融資型クラウドファンディングは固定費を抑える運営が可能であり、投資家への高い還元が実現できている為です。

債券投資のリターン

10kyen
冒頭で利息が投資家の利益になると説明しましたが、詳しく言えば利息だけでなく3種類のリターンがあります。

1、利息

利率と利払期(利息がいつ支払われるか)は募集時に決まっています。

利息は満期まで変動しない「固定金利」と、経済状況により変化する「変動金利」があります。

発行元の信用が高い程利息は低く、発行元の信用が低い程利息は高くなる傾向にあります。

但し利率は発行元の信用度だけではなく、利率に魅力を出して速やかに募集を完了させたい様な発行元の思惑がある場合なども高くなります。

発行元の信用に関しては第三者機関の発行する「格付け」にて確認可能です。
(「債券のリスク」項目で説明します。)

この利息を受け取る事の出来る種類の債券を「利付債」と言います。
%e5%82%b5%e5%88%b8%ef%bc%88%e5%88%a9%e4%bb%98%e5%82%b5%ef%bc%89

運用期間中に利息の支払われない「割引債」という種類の債券もありますので、後ほど説明します。

2、売却益

債券は期間中に売買も可能で、債券自体の価格も変動します。

発行元から新たに発行される債券を「新発債」と呼び、流通している債権を「既発債」と呼びます。

購入時よりも高く売れれば利益となりますし、やむを得ず安く売却する際には損失となります。
%e5%82%b5%e5%88%b8%e5%a3%b2%e5%8d%b4

債券の価格は金利に影響されます。

【金利と債券の価格の関係】
金利が下がれば、新しく発行される債券の利息も連動して下がります

既に固定金利で発行済みの債券は、高い金利のままです。

投資家は高い利息を求める為、新しく発行される低利息な債券よりも、過去に発行されている高利息の債券に人気が集まります。

その為、発行済みの高利息債権の需要が高まり、価格が上昇するのです。

これが金利が下がると債券価格は上昇し、金利が上がると債券価格は下落する原因です。

3、償還差益

償還差益とは、債券購入時の価格よりも償還時の価格が高い時に得る事ができる利益です。

償還時の価格は額面の金額と決まっていますので、既発債を購入した際に額面より安かった場合、または「割引債」を発行から満期まで保有していた場合に、この償還差益を得る事が出来ます。

【割引債】
割引債とは、発行時に額面より低い価格で発行され、償還時に額面通り償還金を受け取るタイプの債券です。

期間中に利息が支払われる事はなく、債券発行時の支払い金額と満期時の償還金額の差額が投資家の利益となります。
%e5%82%b5%e5%88%b8%ef%bc%88%e5%89%b2%e5%bc%95%e5%82%b5%ef%bc%89
この図の場合の様に、額面では100万円の所を95万円で発行されますので、95万円で購入します。

償還時には額面通り100万円が償還されるので、差額の5万円が利益となります。

債券投資のリスク

danger
債券投資は貸付けて満期になると返済されるので安全性の高い投資ですが、リスクも存在します。

発行元の債務不履行です。

いわゆる破綻、倒産ってやつです。

基本的に発行から満期までの期間が3年や5年、10年と長いので、長期過ぎて今後どうなって行くかわからない不安は有るでしょう。

 
日本の場合は、今の所は日本国が破綻する事も考えられませんし、自治体も一部を除き安泰の様に思えます。

企業の信用度合いは、会社によって様々です。

投資家が適切な判断を下せるように、第三者機関が債権発行元を客観的に評価した「格付け」と言うものが存在します。

格付けはAAAが最高評価(安全性が高い)で、Dが最低評価(安全性が引い)となっており、BBB以上が投資適正と言われています。

当然ですが、債券の利息は安全性が高い程低く設定されています。

 
格付け会社は、国内ではJCR(日本格付研究所)R&I(格付投資情報センター)などがあり、海外ではムーディーズやS&P(スタンダード アンド プアーズ)が有名です。

但し、格付け会社もあなたの投資を保証してくれるものではありません。

格付け会社がAAA判定を出していても破綻する可能性はゼロではありませんので、あくまでも投資は自己責任が原則です。

債券投資の手数料

charge
債券は証券会社や銀行などの金融機関で購入できます。

新発債を購入する際には、手数料は発行元が負担するので投資家の負担はありません。

投資家は既発債の売買時に手数料を支払う事になります。
(債券価格に上乗せして取引される事もあります。)

 
また、手数料ではありませんが、既発債購入時には債券購入に費用と別に「経過利子」を支払わなければなりません。

これは、前所有者が保有していた期間分の利息です。

例えば、利払い日が4月1日と10月1日の年2回とします。

前の所有者が8月1日に債権を売却したとすると、4月~7月分の利息を購入者が前の所有者へ支払います。

購入者は4月~9月分の利息を10月1日の利払で受け取る事が出来ますので、実質自分の保有した8月~9月分の利息だけが自分の手元に入る事になります。
%e5%82%b5%e5%88%b8%ef%bc%88%e7%b5%8c%e9%81%8e%e5%88%a9%e5%ad%90%ef%bc%89

債券投資と税金

tax-office
債券は「特定公社債」と「一般公社債」に分類されます。

特定公社債とは国債、地方債、外国国債、外国地方債、公募公社債、上場公社債などです。

大概の債券は特定公社債に分類されるので、特定公社債に掛かる税金について説明します。

■ 利付債の場合

売却益と償還差益、利息に対して、20.315%(国税15.315%、地方税5%)の税金が掛かります。

特定口座の源泉徴収有りで運用する場合には確定申告不要ですが、源泉徴収無しの口座か一般口座での運用であれば、各自で確定申告が必要となります。

 
特定口座、一般口座に関しては、株式投資にて説明しておりますので、そちらを参考にしてください。

・「一般口座、特定口座」の説明箇所へ

■ 割引債の場合

割引債の売却益にも、20.315%(国税15.315%、地方税5%)の税金が課せられます。

特定口座(源泉徴収有り)で運用する場合には確定申告不要ですが、特定口座(源泉徴収無し)と一般口座での運用であれば、各自で確定申告が必要となります。

□ 割引債の償還差益に対する税金
割引債の償還差益に対する税金は少し特殊です。

現在は利付債が大半で割引債は余り関りが無いかもしれませんので、必要な時に見る様にしてください。

割引債の償還差益に対する税金は、次のように徴収されます。

・特定口座にて運用の場合
特定口座にて運用する場合には、実際の償還差益に対して20.315%(国税15.315%、地方税5%)の税金が課せられます。

源泉徴収有りの特定口座の場合には確定申告不要ですし、源泉徴収無しの特定口座の場合には確定申告必要です。

・一般口座にて運用の場合
一般口座にて運用される割引債は、償還時に「みなし償還差益」に対して20.315%(国税15.315%、地方税5%)の税金が源泉徴収されます。

既発債を額面より高く購入してしまい償還時に損失を出していても、先ずは「みなし償還差益」に対して源泉徴収されてしまいます。

みなし償還益は次の計算に基づきます。

a)償還まで一年以内
償還金額の0.2%を「みなし償還差益」とする。

b)償還まで一年を超える
償還金額の25%を「みなし償還差益」とする。

この「みなし償還差益」に対して掛かる金額は有無を言わさず源泉徴収されますので、確定申告にて実際の償還差益との差額を調整する必要があります。

■ 損益通算、譲渡損失の繰越控除

債券投資は株式投資と損益通算が可能です。

また、債券の売却損や償還差損は3年間の繰越控除対象です。

損益通算と譲渡損失の繰越控除に関しては、「株式投資について」の記事内で詳細を説明していますので、そちらを参照してください。

・「損益通算」の説明箇所へ
・「譲渡損失の繰越控除」の説明箇所へ

一般的な債券投資に関する税金については網羅しましたが、例外等ありますので詳細は税理士や税務署へ確認してください。

-初めての資産運用講座